ゆるゆるOblivion

Oblivion妄想RP日記です。渋親父率高いので、加齢臭漂ってます

ぬくもり

~死者への祈り~8:「ぬくもり」最終話



Azazelが帰宅したのは深夜を少し過ぎた頃だった。

思いの外、遅くなってしまった。
・・・一悶着あったがうまく収めることが出来たので、よしとしよう。
彼はそう自分に言い聞かせながら、扉のノブを捻り我が家へと足を踏み入れた。
上の階からバタバタと足音がし、陽気な声が響く。

「お帰りー。遅かったねー」

Miaが玄関の音を聞きつけて駆け下りてきた。
彼は家に帰ってきたことに酷く安堵していた。
酒場でのやり取りは、さすがのAzazelでも精神的に辛かったのだ。

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姿を現したのはMiaだけだった。
いつもならEyjaが必ず出てくるのに、今日は違う。

「Eyjaはどうした。もう寝たのか?」

「忘れたの?今日はEyjaさんは友達の家に泊まってくるのよ?朝、言ってたじゃない。」

「ああ、そうだったな」


どうやらEyjaには親交を深めている最中の異性がいるようだった。
最近、極たまにだが、家を空けることもある。

彼は着替えをしようと3階の自分の部屋へ向かった。
Miaが質問をしながら後ろをついてくる。

「ねえ、夕飯食べた?」

「まだだ。」

「お腹空いた?」

「それほどでもない。」
「ただ、喉が渇いたな」


マリア・エレーナと喋り続けていたので、喉はいがらっぽく、無性に水分を欲していた。
疲れているのでがっつり食べることはできないが、体が温まるもの、もしくは甘いものを口にしたい。
彼女とのやり取りで、体力をかなり消耗してしまったようだ。


「わかった。用意しておくから、着替えたらおいで」


Miaは階下へ戻っていった。
彼はそのまま自分の部屋に辿り着くと、マントと帽子をソファの上に無造作に放った。


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(・・・まったく・・・)

深くため息をつく。
他人から思われることがこんなに大変なことだとは、彼はマリア・エレーナに出会うまで知らずにいた。
悪い女ではないが、興じることへの執着心が半端ないので、扱うのがとても難しかった。
しかし、友人としての助言の的確さは類をみないので、そういった点では重宝している。
Miaにとってはかなり心強い友人となることだろう。
願わくば、彼女の特性を伝染されませんように・・・。




着替えを終え階段を降りていくと、いい匂いが漂ってきた。

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どうやらMiaがスープを温め直しているようだ。
お鍋を火に掛けながら、テーブルセッティングをしている。
この家に彼女がやってきた当初、家事の類は何をやらせても無能としかいいようがなかった。
しかし、今ではちゃんと食器や食べ物の準備をし、器に料理を綺麗に盛れるほどになった。
目覚しい変化だ。

彼が席につくと、温め直したばかりのスープをよそってくれた。
ミネストローネだった。
普段はあまり食卓に並ばない代物だ。

「珍しいな」

彼はスープ皿の中の赤い液体を覗いていた。

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トマトと野菜の香りがぷ~んと漂い、鼻腔を刺激する。
彼は手を合わせ軽く礼をすると、スプーンを手に取り食事を始めた。

「他に何か食べる?肉でも焼こうか?」

「いや、いい」

彼はミネストローネを一口飲むと、首を傾げた。
この味はどこかで一度経験している。
Eyjaのではない。
では、一体どこで?


「これはEyjaが作ったのか?」


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彼は疑問を投げ掛けた。
Miaはワインの瓶を眺め、どれにしようか選びながら質問に答えた。

「違うよ。私が作ったの」
「どう?美味しい??」

「美味いよ。」


意外だった。
彼女が料理を作れるとは知らなかった。
それにしても馴染み深い味だ。

「良かったー!」

彼女はとても喜んでいた。

「マリア・エレーナが教えてくれたのよ。彼女の料理はどれも美味しいものね」

「ああ、なるほど」


だからこの味に記憶があるのだ。
それにしても、ここまで見事に再現するとは、Miaの腕前も大したものだなと、おっさんは感心していた。

「ワイン飲む?前に彼女が珍しいワインを手に入れたって言ってたじゃない。1本貰ったのよ」

彼女はそれを抱きかかえながらおっさんの横にやってきた。
ラベルを見せる。
それは30年物の赤ワインだった。
確かその年は天候不順のため葡萄が不作で、出荷数も限られていた筈だ。
かなり貴重なワインだ。
マリア・エレーナはそんな貴重なワインを無償で譲ってくれたのだ。
まあ、無償かどうかは怪しい所だが、おそらくきっとそのつもりだろう。

「これは凄いな」

おっさんは素直に驚いていた。

「開けるのもったいないかな?」

「いや、せっかくだ、いただこう。」

Azazelは栓抜きでコルクを抜くと、ワイングラスに並々と注いだ。
隣の席に座っているMiaの前にグラスを置いてあげる。
テーブルの上においてあるだけなのに、ワインの良い香りが部屋中に広がる。

「わー」

Miaはドキドキしていた。
こんな上物を飲むのは生まれて初めてだ。
恐る恐るワイングラスを手にした。

「の、飲んでも大丈夫かな・・・?」

「味わって飲むといい」


彼は早速飲み始めていた。
色を眺め、芳醇な香りに気持ちがリラックスしていくのを感じながら喉の奥へと流し込んだ。

「うまいな」

満足そうにそう言うと、再びスープを食べ始めた。
アルコールとスープによって、体の芯から暖められていくのを感じる。
ようやく安らげる。

Miaはワインを味わいながら、何か考えているようだった。
グラスを持ち上げ、灯りに照らしてみる。

「・・・ふーん・・・」
「こういう味なんだ・・・」

実は、美味しいかどうかよくわからないのだ。
おっさんが美味しいと言っているのだから、たぶんそうなのだろう。
彼女にはワインの味は難しかったようだ。


「マリア・エレーナにお礼を言わないとね」

「そうだな」


彼は同意した。
そして、隣でチーズをつまみながらワインを飲んでいるMiaを見た。

「君の腕が上達しているのも、彼女のおかげのようだからな」

「そうね。いい先生を見つけられて良かったわ」

嬉しそうに笑っている。
Miaにとってマリア・エレーナは本当に良き先輩であり、友達のようだ。
おっさんは穏やかな表情を浮かべながら、少し照れ臭そうにこう続けた。

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「また、作ってくれるか?」


Miaの瞳が喜びで輝いた。


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「もちろんよ」





それからはEyjaの作る料理と共に、Miaが作ったものも一緒にテーブルに並ぶようになった。

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-終-


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今回、CSを使ってマリア・エレーナの酒場を作ったり、料理をセッティングしたりしました。
その後、「Soups -SoupHouse and Cooking-」というスープ屋さんModがあることを知り、最終話のミネストローネや料理はそちらの物を使用してみました。
最初から知ってたら、わざわざnifをいじってスープから湯気が出てる物を自作せずに済んだのに・・・。
温かみのある大変素敵なModであり、とてもお腹の空くModです(笑)

ちょっと長めの話が続いてるので、次回はもうちょっと短めの話にしたいな~って思ってます。
でもね、節電の夏なので中々やる気が起きないのよねorz


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