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ゆるゆるOblivion

Oblivion妄想RP日記です。渋親父率高いので、加齢臭漂ってます

夜、歩く4

:注意:
このお話は「Vampire Cure」クエストを元にしています。
ネタバレしていますので、これから遊ぼうとしている方はご注意下さいませ







-夜、歩く-

4.



-Skinglad城-

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長い高架橋を渡り、大きな門をくぐり抜ける。
城へやって来たのは久し振りだった。
メイジギルドでまだ下っ端な頃、死霊術関連のことで、
当時のギルドマスター-今は亡きHannibal Traven-の命で訪れた以来だから、実に2年振りとなる。


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ホールへ入ると辺りを見回した。
相変わらず重厚な空気に包まれている。
Hassildor伯爵の堅固さがそのまま建物に現れてるような独特の雰囲気だ。

Miaは執事に事情を説明した。
おっさんの言った通り、そのまま伯爵と面会することを許された。

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たいした地位を持ってるわけでもないおっさんの使者を、どうして簡単に通してくれるのか多少疑問ではある。
しかし、今はそれだけが伯爵との接点だった。



謁見室に入ると威圧的な背中が出迎えてくれた。

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「お久し振りです、Hassildor伯爵。私を覚えておいでですか?」


ゆっくりと伯爵が振り返る。
久し振りに見る伯爵の顔は相変わらず青白く、厳しい表情をしていた。

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「覚えておるに決まっておろう。そなたの無謀さは近年稀に見るからな」
「Sir.Nightとお呼びした方がよいかな?」

「滅相もございません。以前のように、Miaとお呼び下さい」

「そんな風に呼んでいたかな?」
「まあ、いい。奴からの書簡を預かってきたのだろう?見せてくれないか」


Miaはおっさんからの手紙を伯爵に手渡した。
彼は待ち望んでいたかのように手早く封を開けると、その場で文面に目を通し始めた。
見る見る内に眉間に皺が寄り、こめかみに血管が浮き出る。

「・・・・全く、あ奴の頑固さにはほとほと呆れるわ」

蔑んだ様に声を荒げると、手紙を無造作に放り投げた。

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「一体何が気に食わないと言うのだ?この儂(わし)が頭を下げて頼んでいるというのに・・・っ」


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どうして伯爵が怒っているのかわからず、ただボーっと突っ立っているMia。
一体おっさんは何を書いてよこしたのだろうか?

「もう用は済んだのだろ?下がってよいぞ」
「いや、ちょっと待て」

伯爵は足元に落ちている手紙を拾うと、もう一度くまなく読み返し始めた。
今になって最後に書いてあった文面が少し気になったのだ。


そこにはこう書かれていた。

”・・・私の使者には、言葉を選んで接していただくことを望みます。決して、邪険に扱わないで下さい。
暫し会話を楽しまれるとよろしいでしょう。あなたの渇いた心に潤いが戻ることを願っております”





「・・・ふぅむ・・・」

Miaと手紙を見比べる。
Azazelがどういった含みをもたせてこの文を書き綴ったのか考えている。
怖い顔つきで自分の顔をジロジロと見つめる伯爵に怖気づいたのか、Miaは恐る恐る尋ねてみた。

「あの・・・、どうなさったのでしょうか?私に何か問題でも・・・」

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「そなたに問題はない、あるのはAzazelだ。儂の足元を見てきおる」
「したたかな奴だ・・・」

伯爵はこの不届きな内容の手紙を今度は放り投げずに机の上に置いた。
ふぅ、と息をつくと、落ち着いた声色で話しかけてきた。

「そなたはあ奴の上司にあたるのだろう?何故、目上の者が使者の役目を引き受けたのだ?」

「それは、私が伯爵に会いたかったからです」

「会ってどうする。妾にでもなりたいのか?」

「お友達になりたいんです」


伯爵が高らかに声を上げて笑った。

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「面白いことを言う奴だな。友達になりたいだと?なってどうする、釣りにでも行くのか?」

「できれば。」

真剣な顔つきでそう言い切った。
伯爵は鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔をしている。
そして、再び声を出して笑い始めた。

「変わった奴だと思っておったが、想像以上だな。気に入ったぞ」

その言葉を聴いて安心したのか、Miaが安堵した表情で微笑んだ。

「だが、儂は友達などいらぬ」
「欲しいのは、決して裏切ることのない揺ぎ無い忠誠心と、この儂をも凌駕する力を持つ者だ」



「そなたはどうかな?」



無表情に戻ると、伺うような冷たい目付きで彼女を真っ直ぐに見つめた。
思わず身を固くしたが、臆せずに彼女はハッキリと言い放った。

「私はあなたが望む人材に相応しいと思いますが・・・」
「生憎、あなたに仕える気持ちは持ち合わせておりません。申し訳ございません・・・」

深々と頭を下げた。
伯爵のことは大好きだが、仕える気はなかった。
自分を恋愛対象として見てもらうには、部下としてではなく、もっと対等な立場からでないとチャンスは少ないと考えているからだ。
そんな不純な理由だが、彼女にとっては曲げられない重大事項なのだ。


「別にあやまらんでよろしい。雇おうとは最初(ハナ)から思うておらんからな」
「だが、儂が困っている時はどうする?」

「いつでもお声をお掛け下さい。微力ながらもお役に立てればと思います」

「その言葉を聴けて安心した」


伯爵が腕を組みため息をついた。
実は、彼女のように腕が立ち、すぐにでも使える者を探していたのだ。

「そなたに頼み事をしてもよいかな?」

「なんなりと」

「実は、Skinglad周辺の洞窟に野盗共が住み着いたらしいのだ。被害報告もあがってきている。
 普段ならガード達を行かせる所だが、Oblivion Gateの見張りで手一杯でな」
「そなたの力で打ち払ってはもらえぬだろうか?」

「私で良ければ、喜んでお引き受け致します。」

「ふむ、ありがとう。恩に着る」


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Miaが作法に則りお辞儀をして出て行こうとすると、伯爵が何かを思い出したのか突然声を上げ彼女を引き止めた。

「ああ!あと、そうだ」
「Azazelにこう伝えてくれないか。”泣きついてきても遅い”とな」

「わかりました。伝えておきます」



彼女は部屋を後にした。
伯爵は一人になると、疲れたように椅子に座り込んだ。

(己が招いたものは、己で償うしかなかろう・・・・)

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彼が物思いに耽る為ゆっくり瞳を閉じると、部屋には暗闇が訪れた。



-つづく-

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私が一番好きなNPCはHassildor伯爵だったりします。
初めての出会いがあまりにも衝撃的だったものですから(笑)
素手で羊と共に戦ってくれた彼の勇姿はきっと忘れないでしょう。

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