ゆるゆるOblivion

Oblivion妄想RP日記です。渋親父率高いので、加齢臭漂ってます

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錬金術とおっさん

-塔の屋上-

おっさんはひとり、屋上で煙草を吹かしていた。



「やめたんじゃなかったのか?」

どこからともなく、声が聞こえた。


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振り返ると、月の輝きできらめく池の周りでHouseが薬草の採集をおこなっていた。
一体いつからそこにいたのだろう。
Azazelは全く気がつかなかった。


cak239

そして彼は困ったように笑うと、フーっと煙を吐いた。

「やめたよ」
「やめた筈だったんだがな・・・」

どうにも最近吸っていないと落ち着かないのだ。
多少、精神状態が不安定になっているのかもしれない。
何が原因なのかは、自分でもよくわからなかった。


「明日、何時頃出立するんだ?」

「早朝かな」

Azazelはぼやっと考えながらそう告げた。
彼等は用事が済んだので地元に帰ることにしたのだ。
もう、ここに滞在する理由はない。

「そうか。寂しくなるな・・・・」

Houseは少し寂しそうに目を細め、視線を落とした。


「フッ、お前らしくない。感傷に浸るなんてこと今までなかったのに」

おっさんは少し嘲笑を含ませながら、まるで面白いものを見ているかのようにHouseを眺めた。


「俺も歳をとったのかな。他人と顔を合わせるのは久し振りだったしな」
「なかなかエキサイティングだったよ」

「彼女と飯を食べるんじゃなかったのか?」
「たまには下界に降りて来い。昔みたいに酒でも飲もうじゃないか」

「もちろんお前のおごりでだろ?」


おっさんは呆れたように苦笑していた。
そういえばHouseはいつも他人のものを横取りするか、奢って貰うかのどちらかだった。
自腹を切ってる所を見たことがない。
おっさんはそれでも一緒に飲めるならと、その行為を赦していた。


cak240


Houseは白い息を吐きながらおっさんの横に歩み寄ると、壁に寄りかかり空を見上げた。
寒い地方のせいか、夜空は透き通るように美しかった。

「なあ、Azazel・・・・」

「なんだ」


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「・・・・どうして俺に薬作りを手伝わせた?」

「私一人では無理だからに決まっているだろう」

Houseはいつになく真剣な眼差しをしていた。
おっさんの横顔を見つめている。

「そんなわけないだろう。」
「あの毒薬を中和する方法なんざ、錬金術に携わったことのある奴なら誰でもわかる」

おっさんは何も言わない。
ただ静かに煙草を吹かしている。

「どうしてだ、作りたくない理由でもあるのか?」
「腕前だけでいえば、そりゃ、俺よりは劣るかもしれんが、それでもArcane Universityの誰よりもお前の方が優れている」

「褒めてくれてるのか?Houseの言葉とは思えんな。」

訝しげにHouseの方を向いた。
今の言動はHouseの発言とは思えないくらい、普段の彼からは遠く掛け離れていた。
おっさんはちょっと居心地の悪さを感じ、半歩程Houseから離れた。


「言えよ。それとも、言えないのか?この俺にさえ言えないことがあるのか?」


おっさんは何も言わない。
その態度を見て、Houseは珍しく少し言い辛そうに口ごもりながら言葉を発した。



「・・・・奥方のせいか・・・?」



おっさんが身を硬くした。
それを悟られたくないのか、おもむろに煙草の火を消すと、柵の外へ放り投げた。

「今更言う必要もないだろ」
「薬作りはやめたんだ。もう、携わりたくないのが正直な気持ちだ」

「死んだのはお前のせいじゃないだろう。薬作りをやめたって、奥方は戻らないぞ」

「そんなことはわかっている。」
「ただ、もう、錬金術のことは思い出したくないんだ。」

彼は苦々しそうにそう言うと、逃げるようにその場から離れた。

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「・・・駆け落ちした一人娘の消息はどうだ?あれから少しは進展したのか?」

Houseは話題を摩り替えた。
これ以上死んだ奥さんの話をするのも酷だと感じたし、Azazelも何も話さないだろう。
だが、すり替えられた話も彼にとっては酷な内容の筈だ。

「五年前にCheydinhalの廃墟付近でそれらしい男女を見たという情報以来、音沙汰なしだ」
「生きているのかどうかさえ疑わしくなってきた・・・」

「五年前か・・・お前が不安になるのは当然だ。だが、お前の心が折れたら誰が彼女を探すんだ?」
「身内はもうお前しかいないのに」

Houseの言うことはもっともだった。
おっさんにもそれがわかっているので、探すことをやめる訳にはいかなかった。
老い先短い自分の人生を掛けても探し出そうと硬く決意していた。


「駆け落ちしてこちらの大陸に渡ったくらいだ、二人は相当愛し合っていたのだろう。」
「今頃夫になった男と幸せに暮らしているのかもな・・・」

「その通りかもしれないだろ?」

二人は苦笑した。
本当にそうであれば何も心配はいらないのだが。
実際の所、娘が見知らぬ土地で難儀しているのではないかと思い、
Azazelの心が平穏で満たされることはなかった。


「・・・私が死ぬ前に、妻の墓を娘に拝んでもらう機会があればいいのだが・・・」
「妻はとても娘を愛していたからな」

「叶うさ。」
「お前がやれば出来る子だってことを、俺は知ってるからな」

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自慢げに笑みを浮かべながらいつになく優しい口調でHouseがそう言った。

口を開けば悪態しかつかないような男だが、自分が大事に思っている人間を本気で傷つけようとしているわけではない。
本来は、傷つきやすく、情にほだされやすい男だ。


Azazelはたまに見せるHouseの優しさに触れ、安堵したように小さく頷いた。




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