ゆるゆるOblivion

Oblivion妄想RP日記です。渋親父率高いので、加齢臭漂ってます

喧嘩

~死者への祈り~ 4:「喧嘩」



仕事を終えた彼らは、skingladのギルド支部に戻ると報告も兼ねて反省会を開いた。

sisya26

指揮官であるMiaは並んでいる皆を前にして、ねぎらいの言葉をかけ、簡単に今日の内容をまとめるのみで解散させた。
反省会はあっけなく閉会したのだ。
各自がバラバラに動き出し、Miaも帰ろうと扉に向かって歩き出そうとした時、おっさんが呼び止めた。
部屋に残っていたのは2人だけだった。

「どうしたの?」

不思議そうに彼の顔を見た。
気のせいか、いつもよりも険しい表情をしている。

「なんだ今の反省会は。ただお疲れ様を言っただけじゃないか」

「それじゃいけない?」

「ああ、駄目だ。」

「何か反省するようなことあった?誰も怪我しなかったし、目的は達成できたし、悪い所はないと思うんだけど」


彼女の言うとおりだ。
全員怪我もなく無事に帰還できた。
怪物や召還士達も一人残らず退治したので、今ではあの洞窟も安全だ。
依頼はなんの不備も無く達成できたのだ。
しかし、彼には不満があった。
Miaにはそれがなんなのか、わからない。

「悪い所はなかった?本気で言ってるのか?」

おっさんは信じられないといった表情で彼女を見つめた。


「単独行動をとったことは、それ程重要ではないということか・・・」
「これで何度目だ?口が酸っぱくなるほど言ってるのに何故繰り返す」


彼は寄りかかっていた壁から身を離すと、彼女にゆっくりと歩み寄った。
Miaは彼から圧迫されるような重苦しい雰囲気を感じ取り、自分が叱られることを悟った。
日頃からよくあることだが、この前置きの時間はとても苦手だ。
彼女は渋々と彼に向き直り、何を言われても動じないように身構えた。



「君は自分が指揮を執り、皆をまとめなければならない立場だってことを本当に理解しているのか?」


おっさんは眉間に皺を寄せながら、淡々と言葉を続けている。

「してないだろう。していたならば、あんな無茶で勝手な行動をとるはずがない。」
「君は私達すべてを置き去りにしたのだぞ。これがどういう意味なのかわかってるのか?」

「だって、見失ったら困ると思ったんだもの。逃がしてしまったら余計面倒臭いことになるでしょ?
だったら、物事が悪化しない内に片付けちゃった方がいいと思ったのよ」
「実際、それで簡単に終わったし」

度々このことで彼から注意を受けてはいたが、気にしたことはなかった。
Miaは自分のしたことが悪いことだとは思っていない。
簡潔に物事を解決するための正攻法だと思っているのだ。


sisya27


「君は自分の力を過信しているようだな。確かに君一人で洞窟を掃除するのはわけないだろう。」
「だがな、私達は団体行動をとっているのだ。君一人の身勝手な行動によって、私達がどれだけ危険な目に晒されるか少しでも考えてくれ」

おっさんの声に鋭さが増した。
相変わらず淡々と話し続けてはいるが、多少イラだっているようだった。


「君にとって戦闘や罠なんてものはどうってことないんだろうな。」
「しかし、私達は違う。君が巻き起こした微風が、私達にとっては突風だったり、暴風だったりするんだ。」
「皆が皆、君のように動けるとは思わないでくれ」

「悪かったわ。今度から気をつけるわよ」

Miaは話を終わらせたくて、とりあえず謝罪の気持ちを述べておいた。
あまり重要なことのように彼女には思えないので、本気で言ったわけじゃない。
何故なら、他人に危害が及ぶ前に、自分ですべてを終わらす自信があるからだ。
そのためには単独で速攻が一番効果的だと思っている。

彼女は早く家に帰って、シャワーでも浴びたい気分だった(ないけど)。
自然と足は扉の方へと向かう。

sisya28


「待て、まだだ。」

Miaはあからさまに嫌そうな表情を浮かべ、ため息をついた。
おっさんの説教は長いから苦手だ。


「私の言葉を話半分で聞いてるだろ。君は人の上に立ちたいと思ってるんじゃなかったのか?」

sisya29


彼女の夢は一国一城の主になることだ。
おっさんはそのことを彼女自身から聞かされて知っている。


「なのになんだこのザマは。たった数名の部下達ですら、まともに動かせないじゃないか。
君は自分ですべてやってしまえばすべて終わると思ってるのだろう?勘違いも甚だしい」

Miaがムっとした顔をした。
今の言葉は聞き捨てなら無い。

「実際、私一人ですべて片付いたじゃない。」

「それは仲間はいらないってことか?自分は誰よりも強いから、先走ってすべて終わらせれば万事解決。そうだろ?」

「みんなもちゃんと仕事したじゃない。戦ったのは私だけじゃないわ」

彼女は語気を荒げ反論した。
おっさんは聞く耳持たず、さらに言葉を続けた。


「もし、あの後、君の身に何かが起こっていたらどうする?私達の助けが間に合わず、深手を負っていたら?」
「もし、あの後、取り残された私達が不意打ちを喰らっていたら?君はそんなことには気付かず、敵を追って奥へと突き進むのだろうがな」
「あらゆる事が起こり得るということを、少しは頭に入れておいて欲しい。」

おっさんは真っ直ぐ彼女の瞳を見つめた。

「それでも、独りで行動したいというなら、どうぞ勝手にしてくれ。私達は君にすべてを任せ、酒場で酒でも飲んで待っていよう」


彼は口を閉じた。
険悪なムードの中、二人はお互いの表情を伺い合い、どうやったら自分の主張を通せるかを考えていた。
Miaはおっさんを睨み付けるように凝視している。
彼の言っている事は理解できるが、無性に腹立だしい。
相手の心を逆撫でするような言い回し、口調、声のトーン、わざととしか思えない。
彼女は彼の上から目線での言動も大嫌いだった。
彼にその気があるのかどうかは、この際関係ない。
とにかく、むかついて仕方ないのだ。

sisya30


「何よ、その言い方。あやまってるじゃない。追い討ちかけるのやめてくれない?」

「反省してないから言わざるをえないんだ」

「そんなに言うなら、あなたが指揮を執ればいいでしょ?私なんかよりずっと向いてるわ」

普段からおっさんの方が指揮官に向いていると思っているのは事実だ。
年期も経験も彼のほうが豊富なのだから、当然の話だ。


「君はギルドマスターだろ。そんなことを、軽々しく言うもんじゃない」

「なりたくてなったわけじゃないわ。なんならあなたがなる?すぐにでも辞退して、あなたを後任に推すわよ」

自分でもわかるくらい、嫌味たっぷりな言い方をしてやった。
軽く自己嫌悪に陥ったが、止めることはできなかった。
売り言葉に買い言葉、おっさんがやめるまで彼女は止まれないだろう。

「君に責任感はないのか?」

「だって、私は指揮官に向いてないんでしょ?あなたが今そう言ったじゃない。やりたい人がやった方がうまくいくんじゃないの?」
「そうしたら、私は誰も危険に晒さないし、単独行動だってしないかもしれない」


sisya31


おっさんの顔は曇っていた。
信じられないといった表情で彼女を見ている。
彼は首を左右に振りながら呟いた。

「・・・・信じられん・・・・」

そして項垂れながら目を伏せた。

「ここまで馬鹿だったとは・・・・」


おっさんは急に話す気力を吸い取られたかのように黙りこんだ。
自分は彼女を買い被っていたのだろうか?


「どうせ私はあなたみたいにお利口さんじゃないわよ」
「もういいかしら?ちゃんとあやまったし、話すことも、もう、ないでしょ?帰っていいかしら?」

「好きにしろ」


Miaは早足で出て行った。
おっさんは近くにあった椅子に疲れたように深く腰を沈めた。
暫く何も考えたくない。


---------------------------------------


朝から降り続いている雨は、小雨から本降りへと移り変わり、すべてをどんよりとした陰鬱な色に染め替えていた。

sisya32


彼女の中は悔しさで一杯だった。
おっさんの顔と声が、思い出したくもないのにこびりついて離れない。

(もう、むかつく!なんなのよ、あのクソオヤジ!!あやまってんだから、もういいじゃないのよ!
どうせ私は指揮官になんか向いてないわ。誰かの上に立とうとすること自体、間違いなのよ・・・)


腹が立って仕方がなかった。
それと、やっぱり、彼はMiaにだけ特別厳しいような気がする。
本人はそうじゃないと言い張るが、彼女にはそうとしか思えないのだ。

保護者面するのも気に食わない。
若輩者が自分より劣っているように彼の目には映るのかもしれない。
そういう上からの態度も、非常に嫌いだ。大嫌いだ。





sisya33




悪いのは自分。




それは、もう、わかっている。
だけど、あんな言い方されたら素直になれるわけがない。
逆に押されたら押された分、押し返してしまう。


とても家に帰る気にはなれなかった。
あの顔を見るのかと思うと、げんなりする。
きっとまた、悪態をついてしまうだろう。

sisya34


Miaは今夜は家に帰らず、どこか違う所で一晩明かそうと考えた。


-つづく-





関連記事

Newest